夏休みの宿題で読書感想文があるのか……
本を読むのも感想文を書くのもめんどくさいのに、どうやって書けばいいんだろう?
夏休みに読書感想文の宿題が出される中学生の皆さんの中には、「本を読むのも感想文を書くの嫌だ!」と苦手意識がある人も少なくないと思います。読書感想文は、何を書いてどう進めればいいかわからないですよね。本記事では、中学生が効率よく読書感想文を書く方法について解説します。
・読書感想文の本の選び方から感想文を仕上げる手順が分かる。
・読書感想文はあらすじを書かない!本の紹介文にならない読書感想文が書ける。
・効率よく読書感想文を書くためには、付箋の活用がカギとなる!

独学で東北大学医学部に現役合格。指導経験の中で、“塾外の時間”の使い方こそが成績向上の鍵だと気づき、168時間に着目したオンライン学習管理塾「168塾」、東北大専門塾「Elevate」を創設。全国の受験生を支援している。
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現在は東北大学大学院加齢医学研究所にて、脳科学と教育を融合させた研究を行うと同時に、東北大学病院 認知症外来で診療に携わる現役医師でもある。学術と現場の両視点から、「自走力を育む学習法」の確立を目指し、受験にとどまらない“生きるための学び”を提唱。

東北大学教育学部在学中、自身の浪人体験から、モチベーション支援や学習戦略の大切さに気付き、オンライン学習管理塾「168塾」と東北大専門塾「Elevate」を共同創設し、IT技術を活用した学習管理で全国の受験生を支援している。
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現在は教育メディア「#スタシェア」の運営を行いながら、プロダクト開発と現場支援を両輪に、学びの選択肢と質の向上に取り組む。
本のあらすじはいらない?読書感想文に必要な自分の視点は?

読書感想文は、まず初めに簡単なあらすじをまとめて、感想を続けて書くというパターンをイメージすると思います。しかし、実は読書感想文に長々とした本のあらすじはいりません。ここでは読書感想文に必要な視点を解説します。
1. 本のあらすじや概要はいらない
2. 「なぜ」を繰り返して思考を深める
1.本のあらすじや概要はいらない?その理由とは
実は、読書感想文に本のあらすじや概要を書く必要はありません。
読書感想文は本の「紹介文」ではなく「感想文」なので、本の内容ではなくて感想を書くことが目的です。読んで何を感じたか、どんな気づきがあったかを中心に書いてみてください。
しかし、「全くあらすじを書いてはいけない」というわけではなく、本の感想を書くうえで本の内容に触れる場面が出てくるでしょう。そのときには感想を書く材料として必要な範囲で本の内容を簡潔に書きましょう。

私が小学校高学年のとき、担任の先生から「読書感想文はあらすじは書かないこと」という指導を受けました。それまでは、本のあらすじを説明してから感想を書くという流れで文章を構成していましたが、私の場合はあらすじを短くまとめるのが苦痛だったので、感想だけでいいんだ!と思うとさらに感想文が書きやすくなったように思います。
2.「なぜ?」を繰り返して思考を深める
次は、「なぜ」を繰り返して思考を深めることです。本を読むと様々な感情が湧きあがると思います。
例えば、「〇〇という場面で感動した」「〇〇という場面で悲しく思った」という感想を持つとします。感動した、悲しく思った、という感情は立派な感想の1つです。
しかし、もう1歩踏み込んで「なぜそう思ったのか」という視点を加えると、もっと心に残る感想文になります。以下で例を挙げてみます。
<なぜなぜがない場合の例>
主人公がステージに立って、歌を披露したことに感動した。
このままでももちろん「感想」にはなっていますが、「なぜ感動したのか?」を考えると、もっと深い文章になります。
<なぜなぜを繰り返した例>
主人公がステージに立って、歌を披露したことに感動した。
(なぜ感動した?)
なぜそう思ったのかというと、主人公は大の内気で、人前で何かをすることは苦手中の苦手だったはずなのに、ステージに立って歌を歌えるようになるまで成長したことがすごいと思ったから。
(なぜ成長がすごいと思ったのか)
この本の最初と最後で別人かと思うような変化を遂げ、「人はここまで変化ができるんだ」ということがわかった。そのような主人公の姿勢により「自分もがんばれば変われるかもしれない」と思えた。だから強く心を動かされた。
感動したという感想では伝わらなかった、感動の理由や考えの変化が伝わると思います。文字数も増えて読み応えも増す感想文になります。ぜひ「なぜ?」を繰り返して魅力的な感想文に仕上げてみてください。



なぜ?を繰り返していくことで、自分の根本的な気持ちや考えに、思いがけず気づけることもあります。この「なぜなぜ」の手法は、感想文を書くときだけでなく、日常生活の中でも活用できる有効な方法です。
例えば高校受験の際に必要となる「志望理由書」でも、「なぜその高校を受験するのか?」から「なぜなぜ」を繰り返すと、書きやすくなりますよ!


読書感想文を書く前に!本の選び方と読み方のコツ


読書感想文を書くためにはまず本を選んで読むところから始まります。しかし、読書を苦痛に感じる人は、本の選び方も、本をどう読んでどう感想文を書けばいいかもわからず、困惑するのではないでしょうか。
ここでは、読書感想文にぴったりの本の選び方と、感想文が書きやすくなる本の読み方について解説します。
1.読書感想文の本の選び方
2.付箋を活用した読書感想文の本の読み方
1. 読書感想文の本の選び方
まずは、読書感想文の本を選んでみましょう。本の選び方は大きく分けて3つのパターンがあります。
① 書店で目立つ位置に置かれている字数が少なめの本
② 読書感想文の課題図書として指定されている(されたことがある)本
③ 部活・習い事に関連する内容の本
① 書店で目立つ位置に置かれている字数が少なめの本
1つ目は書店で目立つ位置に置かれていて、字数が少なめの本です。書店で目立つ位置にある本は、多くの人に読まれている可能性があり、書店員さんが自信をもっておすすめしている本でもあります。
内容がわかりやすく、多くの人に「親しみやすい」内容と構成になっているので、読書になれていない人でもスムーズに読める側面があります。さらに、字数が少なめであれば、「これなら読めるかな?」と思えるかもしれません。



本の選択に悩みすぎず、気軽に手に取れる本を選ぶのがいいかもしれませんね。
② 読書感想文の課題図書として指定されている(されたことがある)本
次におすすめなのが、読書感想文の課題図書として選ばれたことのある本です。
全国学校図書館協議会の課題図書選定基準によると、課題図書は、課題図書選定委員会が、児童生徒の発達に合っているか、興味関心を持たせることができるか、心の成長を促す内容かなどの選定基準に合わせて選んでいます。また、前年度の1月1日から12月31日に出版された本ということで、最新の本が選ばれていて、難しすぎずに本の内容が頭に入りやすいのも特徴です。



本選びに、迷ったときや感想文を書く時間が限られているときには、こうした課題図書の中から選んでみるのもよいでしょう。
③ 部活・習い事に関連する内容の本
もし、あなたが部活や習い事など夢中になっていることがあれば、それに関連した内容の本を選ぶのもおすすめです。
例えば自分がバレーボール部に入っていたとしたら、バレーボールをテーマにした内容の小説やエッセイを選んで読んでみましょう。



自分の経験と重ね合わせて共感したり、登場人物に何か言いたくなる場面が出てくるかもしれません。
様々な場面で感情移入しやすい本は、読書感想文に書きたいことが自然と浮かんでくるので、感想文が書きやすくなります。「何を書こうかな」から「これも書けそう!」と、前向きに読書感想文に向き合えるようになるきっかけにもなりえるでしょう。
2. 本を読んでみよう!心が動いた部分に付箋をつけてみよう
本を選んだら、読書をスタートしましょう。
さっと1回読んでみて概要をつかみ、2回目に感想文用にじっくり読むと、本の内容をしっかり理解した上で感想が書きやすくなります。



しかし、本を読むことが苦手な人は、2回も通しで本を読むことは苦痛に感じませんか?できるだけ早く読書感想文を終わらせたい!って思いますよね。
そのようなときに、ぜひ付箋を活用してみてください。ここでは付箋を活用するときに注目する3つのポイントを紹介します。
① 自分の心が動いた部分に付箋を貼ろう
② 自分の実体験が重なり、共感した部分
③ 自分の意見・考えが異なる部分
① 自分の心が動いた部分に付箋を貼ろう
まずは自分の心が動いた部分に付箋を貼ってみてください。
「面白かった」「悲しい…」「感動した!」「なんか怒りを感じる」
どんな感情でも構いません。特に心が大きく、強く動いた部分を中心に付箋をはってみてください。



なぜそのような感情を持ったのか考えることで、自然と自分の考えや気づきが生まれます。
② 自分の実体験が重なり、共感した部分
「この場面、私も同じ経験がある!」
このように自分の実体験が重なり、共感した部分も付箋をはりましょう。
自分の実体験のエピソードは、誰にもまねできないオリジナル感を出すことができ、読み手にも伝わりやすくなります。



エピソードが具体的になればなるほど、現実味を帯びて説得力も増すでしょう。
③ 自分の意見・考えが異なる部分
「この部分、私だったらこうするのに!」
3つ目は自分の意見・考えが異なる部分です。積極的に付箋を貼りましょう。
意見・考えが異なる部分は、自分の大切にしている価値観を改めて見直すいい機会にもなります。自分の大切にしている価値観を取り入れることで、より深みのある感想文に仕上がるでしょう。
実際に読書感想文を書いてみよう!


それでは、実際に読書感想文を書いてみましょう。読書感想文の構成、内容、書き方から最後の見直しまでの流れを解説します。
1.読書感想文の導入部
2.読書感想文の中心部
3.読書感想文のまとめ
4.最後の見直し
1. 読書感想文の導入部分はどうかいたらいいの?3つの基本パターン
読書感想文の導入部分はどのように書いたらいいでしょう?導入部分のパターンとしては3つあります。
① 本を読んだきっかけ・理由
② 本のあらすじとタイトルを見て感じたはじめの印象
③ 本全体を通して感じた印象
① 本を選んだきっかけ・理由
1つ目は「この本を選んだきっかけ・理由」です。
タイトルに惹かれたのか、概要を見て面白そうだと思ったのか、ぱっと見たページがたまたま印象的なシーンで読んでみようと思ったのか、人にオススメされて面白かったのか、様々な理由があると思います。



本の出会いから話をすることにより、導入から自分らしさが出て読み手の興味を引くことができるでしょう。
② 本のあらすじとタイトルを見て感じたはじめの印象
2つ目は「本のあらすじとタイトルを見て感じたはじめの印象」です。このパターンを使用する際には、本を通しで読んだ時に、はじめと読み終わったあとの印象に大きなギャップを感じたときに使用すると良いでしょう。



変化した気持ちを書くと、感想文自体にストーリー性が生まれます。
③ 本全体を通して感じた印象
3つ目は「本全体を通して感じた印象」です。最初に全体を通して感じた強い印象について初めに語り、そのあとの中心部分での印象を持った具体的な理由を述べることで、説得力のある文章につながります。



全体像を書いてから、細分を詰めていくイメージですね。
2.中心部に何を書くか考えてみよう!
導入文を書き終えたら、中心部はどのようなことを書けばよいのでしょうか。感想文のメインと解釈される中心部に書く内容について、4つのパターンを解説します。
① 自分の心が動いた場面や登場人物のセリフを選び、その選んだ理由
② 登場人物の経験と自分の経験を重ね合わせたうえでの、本に書かれていない感情の推測
③ 本の内容と自分の意見・考えと異なる理由と、自身の考え
④ 作者が読者に届けたいメッセージの推測
① 自分の心が動いた場面や登場人物のセリフを選び、その選んだ理由
自分の心が動いた場面や登場人物のセリフをいくつかとりあげてみましょう。そして、その選んだ理由について書いてみてください。理由を複数選んで、そこから「なぜ?そう思ったのか」を繰り返すことで、厚みを持たせた感想文に仕上がります。



どの視点から場面やセリフを選んだかを言葉にすることで、自分らしい感想が自然に表れます。
② 登場人物の経験と自分の経験を重ね合わせたうえでの、本に書かれていない感情の推測
登場人物の経験と自分の経験を重ねることで、自然と共感が生まれてくる場面が出てくると思います。
登場人物に共感したからこそ想像できる感情を言葉にすることで、自分らしさが出るでしょう。本に書かれていない感情はあくまで想像でしかありません。その想像力を働かせることで、独自性を表現することができます。
③ 本の内容と自分の意見・考えと異なる理由と、自身の考え
3つ目自分の意見とは異なる部分を見つけることです。物語の中で「自分だったらこうしないな」という場面があれば、その理由や背景について考えてみましょう。そして自分ならどのように行動するか、もしくは主人公に対して「こうしたらよかったのでは?」という提案を加えてもよいでしょう。



その異なる価値観は、今までなかった新たな視点を育てる良いきっかけになります。
④ 作者が読者に届けたいメッセージの推測
4つ目は作者が読者に届けたいメッセージを推測することです。
多くの場合、作者は本を通して読者に伝えたいメッセージや思いを届けようとしています。その意図をくみ取り、1冊を通して伝えたいことをまとめてみましょう。



やや高度な作業かもしれませんが、様々な推測や想像ができるのは読書の大きな魅力です。
3.最後のまとめは意外と難しい!どうやって文章を締めたらいいの?
最後のまとめは、感想文の印象を左右する大切な部分です。どのように締めくくればよいか悩む方も多いかもしれません。ここでは、まとめ方のポイントを3つ紹介します。
① 読む前と読んだ後の本の印象を比べる
② 本を読んで今後の人生に生かしたいことを書く
③ 本を読んで新たに学んだ価値観をまとめる
① 読む前と読んだ後の本の印象を比べる
1つ目は読む前と読んだ後の本の印象についてを書いてみることです。
最初に「本のあらすじとタイトルを見て感じたはじめの印象」を書いた場合に、締めにまた読んだ後に「本の印象がどう変わったか」について書くと、感想文にまとまりが出ます。
読む前と印象が変わらない場合もありますし、様々な感想を経て印象が大きく変わる場合もありますが、いずれにせよ、印象を言葉にすることで、文章に深みが生まれます。
② 本を読んで今後の人生に生かしたいことを書く
2つ目は本を読んで今後の人生に活かしたいことです。
本を読んで、登場人物が行った行動に対して、感化された部分が出てくると思います。「自分ならこうする」「これからこうしてみよう」など、本を読んで学んだことを、どう行動に移したいか書いてみてください。



本を読んで得た学びを今後どう活かしたいかを書くと、自分らしさが出る文章になります。
③ 本を読んで新たに学んだ価値観をまとめる
3つ目は本を読んで新たに学んだ価値観です。
本を読み進めてみると、今までの経験では知りえなかった「なるほど!」と思える場面が出てくると思います。その「なるほど!」は本を読んでみたからこそ発見できた新たな視点です。最後にその学んだ価値観を書くことで、読書を通じて少し成長した自分を自然に表現できます。
4. 全部書き終わったら、見直しをして完成!
読書感想文を全部書き終わったら、最後に見直しをしましょう。見直しをすると「ここは言い回しがおかしいかな?」「ここはもう少し書けるかも!」と訂正する箇所が出てくると思います。一度原稿用紙に書いているのであれば、修正点は赤字でペンを入れて清書すると、よりきれいな仕上がりになります。
ここでは、見直しのポイントについて3つ紹介します。
① 声に出して読んでみる
② 誤字・脱字、原稿用紙の使い方をもう一度確認
③ 第三者(家族・友人)に確認をお願いする
① 声に出して読んでみる
まずは書いた文章を声に出して音読してみてください。声に出して音読することで、スムーズに読み進められないところは、文の流れに少し違和感を感じます。その部分はより読みやすく訂正して、なめらかな文章に訂正してみてください。
② 誤字・脱字、原稿用紙の使い方をもう一度確認
文章を夢中になって書いていると、誤字・脱字に気づかないことが多くありますが、少し時間をおいて確認すると誤字脱字があることに気づきやすくなります。また、文体に関しては、「ですます調」「である調」が混在する場合もあるので、必ずどちらかに統一するようにしましょう。さらに、原稿用紙の使い方(段落のはじめの一時下げ、句読点の位置)も確認してみましょう。



自分の文章を客観的に見ることができるので、少し時間をおいて確認することがポイントです。
③ 第三者(家族・友人)に確認をお願いする
家族や友達など、他の人に読んでもらいうこともおすすめです。自分では気づかない部分のわかりずらさや、感想の深め方など、客観的なアドバイスをしてくれることもあるでしょう。第三者に確認をお願いして、文章をより良いものに仕上げましょう。
読書感想文のコツをつかめば書ける!まずは書き進めてみよう!


読書感想文を書くことは、ただの宿題ではなく、自分の思考力を深めたり、価値観や考えを表現する練習にもなります。自分の視点で物事をとらえ、人に伝えることは、大人になっても役立つことがあります。
「読書感想文を書くのがめんどくさい」「本を読むのが苦手」思う中学生のみなさんも、今回紹介した読書感想文の書き方やコツを知ることによって、少しずつ書き進めていけるでしょう。まずは気になった本を手に取って、読み進めるところからはじめてみてください。
また、読書感想文は、国語学習の一つです。文章の読み書きが苦手でポイントがつかめない、テストで国語はどうしても点数が上がらないと悩んでいる中学生の皆さんは、専用の学習プランを作成し、徹底した学習サポートを行う「168塾」がおすすめです。
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