自己推薦書の書き方|字数・様式を7大学の要項で比較、構成の型と失敗例【2027年度】

自己推薦書の書き方。経験が伝わる構成と注意点。

自己推薦書って、何を書けばいいんだろう。志望理由書とは何が違うの?

自己推薦書は、書き方の本やサイトを読んでも、何字くらい書けばよいのか、志望理由まで書くのか、手書きかパソコンかといった基本のところで迷いやすい書類です。実は、こうした点は大学ごとに要項と所定の様式で決まっていて、一般論だけでは答えが出ません。

ここでは、2027年度(令和9年度)入試の募集要項と所定様式を国立・私立の7大学分並べ、字数・書く内容・作り方・選考での使われ方がどこまで違うかを示します。そのうえで、様式に合わせた構成の組み方と、書き始める前に要項で確かめる手順をまとめました。

本記事の結論
  • 自己推薦書の字数・様式は大学でばらばら。2027年度の要項では200〜300字(神奈川大学の総合型選抜・適性検査型)から1000〜2000字程度(明治学院大学社会学科)まであり、字数の指定がなく設問や枠で決まる大学(上智大学・岡山大学・北海道大学医学部医学科)や、様式・枚数自由の大学(筑波大学)もある
  • 書く中身は、所定様式の設問と大学の求める学生像から逆算する。設問がない様式は、結論・きっかけの経験・経験からの学び・大学での展望の4段で組む
  • 自己推薦書に点数を付ける大学(北海道大学など)も、点数化せず面接で確かめる大学もある。どちらでも、書いた内容は面接で聞かれる前提で書く
本記事を監修する専門家
難波

独学で東北大学医学部に現役合格。塾講師として指導を行う中“塾外の時間”の使い方こそが成績向上の鍵だと気づき、1週間=168時間に着目したオンライン学習管理塾「168塾」を創設。全国の受験生を支援している。

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現在は東北大学大学院加齢医学研究所にて、脳科学と教育を融合させた研究を行うと同時に、東北大学病院 認知症外来で診療に携わる現役医師でもある。学術と現場の両視点から、「自走力を育む学習法」の確立を目指し、受験にとどまらない“生きるための学び”を提唱。

目次

自己推薦書とは:受験生本人が書く出願書類の1つで、中身は大学ごとに決まる

自己推薦書は、受験生が自分で、自分がその大学・学部で学ぶのにふさわしいことを示す出願書類です。主に総合型選抜や公募制の学校推薦型選抜で求められます。ただし、自己推薦書という名前は文部科学省が決めた書類名ではなく、大学がそれぞれの要項で使っている名前です。同じ名前でも、字数や書く内容は大学ごとに違います。

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、こうした書類は志願者本人が記載する資料(活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書など)として扱われます。自己推薦書に関わる決まりは、次のとおりです。

  • 評価の土台は学力の三要素:知識・技能、思考力・判断力・表現力等、主体性を持ち多様な人々と協働しつつ学習する態度の3つを、大学のアドミッション・ポリシーに基づいて評価する
  • 総合型選抜では本人が書く資料を必ず評価に使う:令和9年度(2027年度)入試からの変更点。あわせて、志望する分野への意欲や適性を問う面接も必須になった(令和8年度入試ですでに実施していた選抜区分のうち、令和9年度から面接を入れるのが難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに面接を導入する経過措置あり)
  • 入学希望理由書・学修計画書の中身:入学を希望する理由、入学後に学びたい内容と計画、卒業後を見据えた目標などを書かせる

つまり、自己推薦書は書類選考の材料であると同時に、面接で質問される材料にもなる資料です。たとえば筑波大学のAC入試は、面接・口述試験で主に自己推薦書などの内容を問います。総合型選抜では面接が原則必須になるため、書いたことを自分の言葉で説明できるようにしておく必要があります。

総合型選抜と学校推薦型選抜の仕組みの違いは、総合型選抜(旧AO入試)とは?仕組みと学校推薦型選抜との違いを解説で詳しく説明しています。

字数・様式は大学でここまで違う:7大学の2027年度要項で比較

自己推薦書って、何字くらい書くものなの?手書きじゃないとだめ?

比べたのは、2027年度(令和9年度)入試の要項と所定様式が公表済みで、書類の名前が自己推薦書(明治学院大学は一部が自己推薦文)の大学です。国立と私立、総合型選抜と公募制の推薦、字数で指定する様式と設問・枠で指定する様式がそれぞれ入るように選びました。同じ大学でも学部・学科で様式が違うため、表には学部・学科名も入れています。

2027年度(令和9年度)入試の募集要項・所定様式にある自己推薦書の分量の指定。神奈川大学 総合型選抜(適性検査型)200〜300字、明治学院大学 英文学科の自己推薦文800字程度、社会福祉学科の自己推薦書1600字程度、社会学科の自己推薦文1000〜2000字程度。上智大学 公募制推薦はA4・1枚以内、岡山大学(理学部・薬学部)総合型選抜は3つの記入欄、北海道大学 医学部医学科フロンティア入試は6つの設問の記入欄で、いずれも字数の指定なし。筑波大学 アドミッションセンター入試は本文の様式・枚数自由。
出典:各大学の2027年度(令和9年度)入試の募集要項・自己推薦書の所定様式(記事末の出典一覧)。
明治学院大学は自己推薦AO入試の学科別様式。

字数で指定する大学だけを見ても、神奈川大学の200〜300字と明治学院大学社会学科の1000〜2000字程度では、書ける量が数倍違います。上智大学・岡山大学・北海道大学(医学部医学科)は字数を決めず、用紙1枚や記入欄の大きさで分量が決まります。筑波大学のアドミッションセンター入試は、本文の様式も枚数も自由で、根拠となる資料を添付する形です。

大学・入試書く内容
神奈川大学 総合型選抜(適性検査型)高校時代に意欲的に取り組んだことと、そこから学んだこと
明治学院大学 社会福祉学科これまでの活動と、志望理由に関連づけて学科で何を学び考えたいか。活動から学んだことや自分の強みも示す
明治学院大学 社会学科これまでどんな活動をしてきたかと、学科で何を勉強したいか
上智大学 公募制推薦志望動機、学力、学業成績以外の卓越した能力、課外活動・社会活動の実績、特技など
岡山大学 総合型選抜(理・薬)志望理由、自己アピール、活動体験の記録の3つの欄
北海道大学 医学部医学科自己アピール、取り組んだ活動、関心を持った医療問題、感銘を受けたもの、入学後の学び方、卒業後の構想の6問
筑波大学 AC入試自分で課題を見つけ、学び、考え、判断して取り組んできたこと。根拠の資料と活動経過報告書を付ける

出典:各大学の2027年度(令和9年度)入試の募集要項と自己推薦書の所定様式。リンクは記事末の出典一覧にまとめています。

7大学を並べて分かること

自己推薦書について言い切れないこと
  • 何字が標準か:200〜300字から2000字程度まで幅があり、比べた7大学のうち5大学は字数の指定がない。字数は志望校の様式でしか分からない
  • パソコンで書いてよいか:自筆に限る大学(神奈川大学・明治学院大学・北海道大学)と、パソコンも可の大学(上智大学・岡山大学)がある。筑波大学の本文と田園調布学園大学の自由記入欄は、作り方の指定が要項にない
  • 志望理由を書くか:上智大学・岡山大学のように自己推薦書に志望理由まで含める大学と、筑波大学のように志望理由を別の書類に分ける大学がある

生成AIについては、上智大学が自己推薦書の作成に生成AIを使うことを認めないと様式に明記し、明治学院大学も生成AIが作ったものをそのまま使うことは受験生独自の成果物とみなさないとしています。文章は自分で書く前提で準備してください。

大学が設問で聞いていること:書く中身は様式から逆算する

設問や記入欄がある様式では、その設問が書く中身を決めています。比べた大学の設問を整理すると、聞かれていることは次の4種類に分けられます。

聞かれていること様式の例(2027年度)
これまでの活動神奈川大学の高校時代に意欲的に取り組んだこと、岡山大学の活動体験の記録、北海道大学医学科の学校行事や社会活動などの体験
求める学生像との対応北海道大学水産学部は、3つの求める学生像のどれに当てはまるかを選び、その理由を書く。医学科も求める学生像を念頭に自己アピールを書く
入学後の学びと将来北海道大学医学科の入学後に何をどう学ぶかと卒業後の構想、明治学院大学社会福祉学科の学科で何を学び考えたいか
分野への関心と考え北海道大学医学科の最近の医療問題で関心を持ったことと、その理由・自分の考え

北海道大学水産学部のように、求める学生像そのものを設問に入れている大学もあります。書く前に、志望学部のアドミッション・ポリシー(求める学生像)を読み、設問と結びつけておくことが、内容を外さないための一番の近道です。アドミッション・ポリシーは、大学の入試サイトや募集要項の冒頭に載っています。

構成の型:設問がない様式は4段で組む

自由に書いていい様式だと、どんな順番で書けばいいか分からない…

上智大学や田園調布学園大学のように枠の中が自由な様式や、字数だけが決まっている様式では、次の4つの要素で組み立てると論理が通りやすくなります。設問がある様式でも、1問ずつの答えをこの順で組むと書きやすくなります。

要素書く内容見落としやすい点
①結論学びたいことと、自分がふさわしい理由を最初に一文で示す前置きが長い
②きっかけの経験関心を持った具体的な出来事出来事の紹介で終わる
③経験からの学びその経験で何を考え、どう行動を変えたか貴重な経験になった、で止まる
④大学での展望入学後に何をどう学び、どう活かすか大学名だけ変えた一般論

字数は③に最も厚く割き、①は短く言い切ります。200〜300字のような短い様式では出来事を1つにしぼり、設問が聞いていない要素は無理に入れません。

構成の骨組みの例(〔 〕に自分の内容を入れる)
  • ①結論:私は〔学部・学科〕で〔学びたいテーマ〕を学びたい。〔取り組んだ活動〕を通して、〔身につけた力・考え方〕を持っているからだ
  • ②きっかけの経験:〔いつ・どこで〕〔取り組んだ活動〕の中で、〔見つけた課題・疑問〕に気づいた
  • ③経験からの学び:〔課題の原因をどう考えたか〕から、〔自分が判断して行ったこと〕をした。その結果〔変わったこと〕と、〔残った課題〕が分かった
  • ④大学での展望:〔大学の科目・ゼミ・研究室・実習の名前〕で〔残った課題〕を深め、〔卒業後にしたいこと〕につなげたい

エピソードの選び方:大きな実績より、自分の判断が入った出来事

エピソードは、大会成績や受賞の大きさより、自分で考えて判断した場面がある出来事を選びます。部活動の練習方法を提案した、学校行事の運営で意見の食い違いを調整した、探究の授業で調べ方を変えた、といった経験も材料になります。

選んだ出来事は、何が起きたか、そのとき何が問題だと考えたか、実際にどう動き結果どうなったか、の順に書き出すと③の材料がそろいます。北海道大学の医学部医学科・獣医学部・水産学部などが求める諸活動の記録や、筑波大学の活動経過報告書のように、活動の事実は別の書類に書かせる大学もあるので、その場合は自己推薦書では事実の列挙を減らし、考えたことに字数を回します。

下書きの点検:見落としやすい点

  • 実績の列挙になっていて、そこから何を考えたかが書かれていない
  • 私は〜な性格です、と自己評価だけで、行動の裏付けがない
  • 大学名を入れ替えると、他大学でもそのまま通用してしまう(科目・ゼミ・研究室の名前が1つもない)
  • 結論で述べた関心と、エピソードと、将来の展望が別の方向を向いている
  • 面接で聞かれたときに、自分の言葉で説明し直せない表現を使っている

推敲では、声に出して読むと、主語の抜けや同じ言い回しの繰り返しに気づきやすくなります。実績は本文の材料であって、主役は考えたことと行動したことだと意識すると、文章の重心が定まります。

志望理由書との違い:大学ごとの分担は3パターン

志望理由書は大学・学部を選んだ理由と入学後の学びが中心の書類、自己推薦書は自分がその学びにふさわしいことを経験から示す書類、と整理すると分かりやすくなります。ただし、実際の分担は大学の様式で決まります。比べた大学では、次の3つのパターンがありました。

志望理由書と自己推薦書の分担の3パターンの図。分担は大学の様式で決まる。1は自己推薦書の中に志望理由も書く(上智大学、岡山大学)。2は志望理由書を別に出し、自己推薦書は取り組んできたこと、志願理由書は志願する理由(筑波大学)。3は活動の記録を別に出し、一覧は記録に、考えたことや将来は自己推薦書に(北海道大学)。
志望理由書と自己推薦書の分担の3パターン
パターン大学の例(2027年度)と書き方
自己推薦書の中に志望理由も書く上智大学の公募制推薦は、志望動機を自己推薦書に書く。岡山大学は1つの様式に志望理由と自己アピールの欄がある
志望理由書を別に出す筑波大学のAC入試は、自己推薦書とは別に志願理由書(800字以内)を出す。自己推薦書は取り組んできたこと、志願理由書は志願する理由と役割を分ける
活動の記録を別に出す北海道大学の医学部医学科・獣医学部・水産学部などは、自己推薦書とは別に諸活動の記録を出す。活動の一覧は記録に、考えたことや将来は自己推薦書に書く

両方を出す場合は、同じエピソードを使ってもかまいませんが、見せ方と焦点を変えます。志望理由書で動機として触れた出来事を、自己推薦書では行動の過程として詳しく書くなど、役割を分けると重複感が減ります。どちらの書類も面接の資料になるので、内容が食い違わないようにします。

書き始める前に要項で確かめる手順

総合型選抜の自己推薦書は、提出の締め切りが早い書類です。総合型選抜の出願は9月1日以降と決まっていて、2027年度入試では北海道大学のフロンティア入試が9月9日〜15日必着、筑波大学のAC入試が9月1日〜3日必着でした。次の順に確かめると、準備の抜けを防げます。

STEP
志望学部の所定様式をダウンロードする

入試サイトの募集要項のページから、出願する年度・入試区分・学部学科の様式を取ります。北海道大学や明治学院大学のように、学部・学科で様式が違う大学があります。その年度の様式が出る前は、前年度の様式で見当をつけます。

STEP
分量・用紙・書き方の決まりを書き出す

字数か枚数か、手書きかパソコンか、ペンの色、図や写真を使えるか、生成AIの扱いを、様式の注意書きと要項の両方で確かめます。

STEP
ほかの出願書類との分担を決める

志望理由書・活動の記録・レポート課題があるかを見て、自己推薦書で書くことと書かないことを分けます。

STEP
設問と求める学生像を見出しにして材料を集める

設問ごと(設問がなければ4段の要素ごと)に見出しを立て、使うエピソードと、大学の科目・研究室など具体的な名前を書き出してから文章にします。

STEP
書き上げ・推敲の期限を締め切りから逆算する

郵送の締め切りが必着か消印有効かも確かめます。手書きの様式は清書にも時間がかかるので、下書きの完成を早めに置きます。調査書など高校が作る書類の依頼も同時に進めます。

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自己推薦書についてよくある質問

文字数の目安はどのくらいですか?

決まった目安はなく、大学の様式で決まります。2027年度入試の要項では、神奈川大学の総合型選抜(適性検査型)が200字以上300字以内、明治学院大学社会福祉学科の自己推薦AOが1600字程度でした。上智大学の公募制推薦はA4で1枚以内、北海道大学や岡山大学は記入欄の大きさで分量が決まります。字数の指定があるときは、その範囲に収め、上限を超えないようにしてください。

自己推薦書を書くのに生成AIを使ってもいいですか?

大学の決まりに従ってください。2027年度入試では、上智大学が自己推薦書の作成に生成AIを使うことを認めないと様式に書いており、明治学院大学も生成AIが作ったものをそのまま使うことは受験生独自の成果物とみなさないとしています。書いた内容は面接でも聞かれるため、自分の言葉で書くことが前提です。

併願校ごとに内容を変える必要がありますか?

変える必要があります。大学ごとに字数・設問・求める学生像が違うため、同じ文章をそのまま出せるとは限りません。エピソードの核は共通でもかまいませんが、設問への答え方と、大学での展望の部分は大学ごとに書き直します。

経験が少ない場合でも書けますか?

書けます。比べた大学の設問でも、問われているのは実績の大きさより、取り組んだことと、そこから学んだことや考えたことです。授業や探究、学校行事、日常の中で自分で判断して動いた場面を掘り下げれば、十分な材料になります。ただし、明治学院大学の自己推薦AOのように、出願資格として活動実績の証明を求める入試もあるので、出願資格を先に確かめてください。

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