数学が苦手な人の克服法|つまずきやすい単元と、さかのぼる範囲の決め方

数学だけ、どうしても点数が伸びない…。公式は覚えているのに、問題になると解けないのはなぜだろう
数学だけ点数が伸びないと、自分には才能がないのではと考えてしまいがちです。けれど、問題集を最初から解き直しても、どの単元でつまずいたのかが分からないままだと、同じところでまた手が止まります。
全国の中学3年生・小学6年生が受けた令和8年度の全国学力・学習状況調査を見ると、正答率は単元や問題の形式によって大きく違います。ここではその結果から点を落としやすいところを示し、学習指導要領で単元を学ぶ学年をもとに、今の苦手からどの学年のどの単元までさかのぼればよいかを表にしました。間違え方から原因を見分ける方法と、埋めていく順番も続けて説明します。
- 令和8年度の全国学力・学習状況調査で、中学3年生の数学の平均正答率は57.4%。領域では図形(49.2%)、問題形式では記述式(39.6%)が最も低く、記述式の4問はどれも2割以上の生徒が無解答だった
- 数学の単元は学年をまたいでつながっている。苦手な単元の1つ前の単元の例題を解き、解けるところまでさかのぼって、そこから順に埋める
- 間違えた問題を計算ミス・解き方が分からない・説明が書けないなどに分けると、やることが変わる。同じ単元で同じ間違いが続くところから手をつける

独学で東北大学医学部に現役合格。塾講師として指導を行う中“塾外の時間”の使い方こそが成績向上の鍵だと気づき、1週間=168時間に着目したオンライン学習管理塾「168塾」を創設。全国の受験生を支援している。
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現在は東北大学大学院加齢医学研究所にて、脳科学と教育を融合させた研究を行うと同時に、東北大学病院 認知症外来で診療に携わる現役医師でもある。学術と現場の両視点から、「自走力を育む学習法」の確立を目指し、受験にとどまらない“生きるための学び”を提唱。
全国学力調査で見る、数学でつまずく人が多いところ
全国学力・学習状況調査は、文部科学省と国立教育政策研究所が毎年、全国の小学6年生と中学3年生を対象に行っている調査です。令和8年度(2026年4月23日実施)の数学・算数の結果を、学習指導要領の領域と問題の形式ごとにまとめたのが次の図です。

中学3年生865,360人、小学6年生934,973人の結果。
中学3年生の数学は、全体の平均正答率が57.4%でした。領域別では数と式が68.1%と高く、図形は49.2%で最も低くなっています。問題形式別では、答えだけを書く短答式が64.6%なのに対し、考え方や理由を文章や式で書く記述式は39.6%でした。計算の問題よりも、図形の性質を使う問題や、考え方を説明する問題で正答率が下がっています。
小学6年生の算数では、割合や単位量当たりの大きさを含む変化と関係が41.4%で最も低い領域でした。中学1年生で学ぶ比例・反比例は、小学6年生の比例・反比例の続きです。
ただし、区分ごとの問題数は1〜9問と少なく、問題は毎年変わります。この数字は令和8年度の問題での結果で、単元そのものの難しさを測った値ではありません。
正答率が低かった問題
領域の平均だけでなく、問題ごとの正答率を見ると、どんな問われ方でつまずいたかが分かります。正答率が5割を下回った問題を並べました(参考に、中学校は正答率が最も高かった問題、小学校は5割台の百分率の問題も入れています)。学年は、学習指導要領でその内容を学ぶ学年です。
| 問題の内容 | 正答率 |
|---|---|
| 度数分布多角形から傾向を判断し、理由を説明する(データの活用・記述式) | 32.2% (無解答28.5%) |
| グラフを使った求め方を説明する(関数・記述式) | 34.5% (無解答39.0%) |
| 証明する事柄の仮定となる辺や角を選ぶ(中2 図形の合同) | 37.5% |
| 2つの数の差に着目して式の値を説明する(中2 文字式・記述式) | 45.2% (無解答26.1%) |
| 度数分布表から累積度数を求める(中1 データの分布) | 46.3% |
| 四角形で、2直線が平行であることの根拠になる2つの角を書く(中2 平行線と角) | 49.6% |
| 三角形の合同を使って証明する(中2 図形・記述式) | 46.6% (無解答21.9%) |
| 参考:正の数・負の数で気温の差を求める(中1) | 85.9% |
出典:国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 問題別調査結果」中学校 数学・小学校 算数(全国・国公私立)。問題の内容は要約。無解答率は何も書かなかった生徒の割合。
中学校の記述式の4問は、どれも無解答率が22〜39%でした。誤った答えを書いたのではなく、解答欄に何も書かなかった生徒がこれだけいたということです。無解答の理由は調査結果からは分からないため、自分が白紙にした問題は、時間が足りなかったのか、書き始め方が分からなかったのかを確かめます。小学校では、何倍・百分率・単位量当たりの大きさといった割合の問題が3〜5割台にとどまりました。
間違え方から、苦手のタイプを見分ける

公式は覚えているのに、テストになると手が止まる。何が足りないんだろう
数学が苦手といっても、間違え方によって必要な対策が違います。最近のテストや問題集で間違えた問題が、次の表のどれに近いか分けてみてください。
| 間違え方 | 考えられる原因 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 符号や係数を間違える | 途中式の省略、計算の決まりがあいまい | 途中式を全部書き、間違えた行を見つける |
| 公式は覚えているのに使えない | どんな場面で使う公式か結びついていない | 教科書の例題で、その公式を使う理由を確かめる |
| 文章題で式を立てられない | 割合・比例など前の学年の内容、問題文の読み取り | 数量の関係を図や表にしてから式にする |
| 証明・説明の問題で白紙になる | 根拠と結論の書き方が身についていない可能性 | 模範解答の根拠の部分に線を引き、同じ形で書き直す |
| 特定の単元だけできない | その単元の前提の単元でつまずいている | 次の節の表で、1つ前の単元に戻る |
数学が苦手とひとくくりにせず、どのタイプの間違いが多いかを見ることが、対策を選ぶ出発点です。自分では分けにくいときは、問題を解く様子を先生や家族に見てもらい、どこで手が止まるかを確かめてもらう方法もあります。


間違えた問題の分け方
単元名は教科書の目次の名前にそろえます。後で次の節の表と照らし合わせやすくなります。
解説を読む前の答案を見て、方針は合っていて計算で誤ったのか、使う公式や解き方を選べなかったのか、途中の式変形で止まったのかを分けます。解説を読んだ後は、解答を閉じて解き直し、理解できたかを確かめます。
1回だけの間違いより、繰り返している間違いのほうが、前の単元の抜けが隠れている可能性があります。
どこまでさかのぼるか:小学校から高校までの単元のつながり
数学は、前の学年で学んだことを使って次の単元を学ぶように組まれています。高校の学習指導要領でも、数学Ⅰの数と式では中学で学んだ乗法公式と因数分解の理解を深めること、図形と計量では正弦定理・余弦定理を三平方の定理と関連付けて理解することが示されています。
次の表は、小学校・中学校・高校の学習指導要領で各単元を学ぶ学年をもとに、今つまずいている単元と、さかのぼって確かめたい単元を並べたものです。苦手な単元の右の列にある単元から、例題が解けるかを確かめます。
| 今つまずいている単元 | さかのぼって確かめる単元 |
|---|---|
| 高校 数学Ⅰ 数と式(展開・因数分解・一次不等式) | 中3 多項式の展開と因数分解、平方根 → 中1 一元一次方程式 |
| 中3 二次方程式 | 中3 因数分解・平方根 → 中1 一元一次方程式 |
| 中2 連立方程式 | 中2 式の計算(同類項) → 中1 文字式・一元一次方程式 |
| 中1 文字式・一元一次方程式 | 小6 文字を用いた式、小5・小6 分数の計算 |
学年と単元は、文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示)・高等学校学習指導要領(平成30年告示)の各学年の内容による。教科書によって単元を学ぶ順番が違うことがある。
戻る範囲の決め方
解けた例題と解けなかった例題を分けます。例題が解けるなら、戻る必要はなく、問題演習の量が足りていない可能性があります。
前の単元も解けなければ、さらにもう1つ前へ。最初に例題が解けた単元が戻り先です。
戻った単元の基本問題が解けたら次の単元へ進みます。学校の授業は先へ進むので、戻る勉強と授業の復習を同じ週の計画に入れておきます。
苦手を埋める進め方
計算ミスは、途中式と間違いの記録で減らす
計算ミスが多いときは、まず途中式を省かずに書きます。間違えた問題は、どの行で何を間違えたか(符号・移項・約分など)を問題の横に書いておくと、自分が間違えやすい箇所が分かり、次から見直す場所を決められます。
記述・証明は、根拠を書く形から練習する
全国学力調査では、中学校の記述式の問題で2〜4割の生徒が何も書かずに終わっていました。無解答の理由はこの調査からは分かりませんが、自分が白紙にした問題があれば、考え方が浮かばなかったのか、浮かんだのに書き方が分からなかったのかを確かめます。後者なら、次の形で書く練習から始められます。
- 図に書き込む:問題文の条件(仮定)と、示したいこと(結論)を図に印で書き込む
- 使う性質を言葉で並べる:合同条件や平行線の性質など、どの性質を根拠にするかを先に書き出す
- 模範解答と同じ形で書き直す:解答を写すのではなく、閉じてから同じ順番で書けるかを確かめる
定期テストと模試で、復習の範囲を変える
定期テストは出題範囲が決まっているので、直近の単元を重点的に復習します。模試や入試は、それまでに習った範囲全体から出題されます。定期テストでは点が取れるのに模試で取れない場合は、前に習った単元を忘れていないか、時間配分や問題の読み違いがないかを、返ってきた答案で確かめます。
- 解けない問題を解説も読まずに飛ばし続ける:同じタイプの問題で何度もつまずくことになる
- 難しい問題集にいきなり挑戦する:前の単元に抜けがあると解けず、どこで止まったのかも分かりにくい
- 解答を写してわかったつもりになる:自力で再現できるかを確認しないと、定着しない
保護者が意識したいこと
保護者が、どうしてこんな簡単な問題もできないの、といった言葉をかけると、本人が自分は数学ができないと思い込むきっかけになることがあります。点数だけでなく、間違いを分けて前の単元に戻れたか、という取り組み方に目を向けた声かけを意識してみてください。
数学を手放す前に:受験で数学が必要になる場面
文系だから数学はそこそこでいい、と考える人もいます。ただ、国立大学協会の基本方針では、国立大学の一般選抜では原則として、共通テストで数学を含む6教科8科目を課すことになっています。
| 進路 | 数学の扱い |
|---|---|
| 国立大学の一般選抜 | 原則として共通テストの6教科8科目(数学を含む)を課す |
| 私立大学 | 大学・方式によって違う。数学を使える方式を置く大学もある |
数学を早い時期に捨てると、受けられる大学や方式が狭まることがあります。苦手でも、前の単元に戻って基礎問題を解けるところまで固めておくと、進路を選ぶときの選択肢を残せます。
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今のあなたは、次の問いに即答できますか?
- 自分の苦手が、どの単元から始まっているか分かっていますか?
- つまずいた単元を戻って確認する時間を、計画に入れられていますか?
- 間違えた問題を、計算ミス・解き方・説明のどれで落としたか分けられていますか?
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数学の苦手克服でよくある質問
まとめ:数学の苦手は、つまずいた単元を見つけて順番に埋める
数学が苦手なときは、問題数を増やす前に、どの単元のどんな問題で点を落としているかを確かめることが先です。全国学力調査では、図形や記述式の問題で正答率が下がり、小学校では割合の問題が低めでした。間違えた問題を原因ごとに分け、単元のつながりの表で1つ前の単元に戻って例題が解けるかを確かめ、解けたところから今の単元まで順に埋めていきましょう。



