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高校生の塾費用はどのくらい?平均額ではなく必要額に目を向けよう!

【文科省調査から分析】 高校生の塾費用はどのくらい? 平均額ではなく必要額に目を向けよう!

高校生の塾費用ってどのくらい?

やっぱり中学のときより高いのかな?

そんな風にお悩みの保護者の方に向けて、高校生のお子様を塾に通わせた場合の費用の相場をまとめました。

さらに大学進学の方法が多様化している事情を踏まえ、塾代に含まれるサービスの例を数多く取り上げています。塾選びの参考にしてください。

本記事の結論

・高校生の塾費用は年額10万円台から40万円以上にばらつきあり

・大学進学の現状を考えると、平均値より必要額を見るべき

・月謝の安さだけでなく、必要な指導を受けられるかどうかで決めよう

本記事を監修する専門家②
桑久保皓大
Kuwa

東北大学教育学部在学中に起業。現在はオンライン個別指導塾168塾の運営を行う。

詳しくはこちら

1年間の予備校浪人生活を経た後、東北大学教育学部に入学。ベンチャー企業2社で実務経験を積んだ後、浪人時に感じた大手予備校への違和感を基に、「168塾」の立ち上げ・運営。

目次

高校生の塾費用の平均額(文科省の調査より)

勉強している女性

高校生の塾費用については、文科省による定期的な調査が行われています。2024年における最新の調査「令和3年度子供の学習費調査」に基づき、高校生の塾費用を見ていきましょう。

公立高・私立高それぞれの塾費用の平均

文科省によると、年間の学習塾費用の平均は次のようになっています。

公立高校平均 …年額12万円(月額1.0万円)
私立高校平均 …年額17万円(月額1.4万円)

出典: 文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査」における調査結果の概要・表6より

もし高校入試のときにお子様を塾に通わせた経験のある保護者なら、「月額1万円?そんなに安いの?」と驚かれることでしょう。

この数字には非常に注意が必要です。というのも、ここでの平均額には塾に通っていない生徒が「0円」として算入されているからです。「0円」を除いた結果については後ほど示します。

さらに学年別に見た塾代の相場

学年別に見た平均年額については以下のように公表されています。この平均額にも同様に「0円」が含まれているので、金額そのものではなく「高学年ほど塾代が高くなっている」という傾向を押さえるだけにしておきましょう

スクロールできます
中1中2中3
公立高8万円11万円17万円
私立高11万円18万円23万円
学年別・学校種類別の学習塾費(年額)
出典: 文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査」における調査結果の概要・表6より

大学進学率が58%しかないことを考慮すると

高校進学率はほぼ100%ですが、大学進学率は58%程度しかありません令和5年度学校基本調査による)。また、大学の中には入試があまり難しくない大学もあるため、そもそも「大学には行くつもりだけど、塾へ行ってまで準備をするつもりはない」という生徒が一定数いるはずです。

こういったことを考慮すると、そもそも高校生のうち塾へ通う生徒は半分を下回っているかもしれませんね。仮に高校生の半分しか塾に通っていないとすれば、「塾に通っている生徒だけ」で平均額を出すと、先ほどの2倍の金額になるはずです。

このように、高校に比べて大学進学率はかなり低いことを考慮して数値を見ていく必要があります。

「塾費用0円」を除いた塾代の分布

文科省の調査から金額分布を取り出すと、次のようになっています。

スクロールできます
金額公立高(%)私立高(%)
0円66.861.7
~1万円未満1.61.5
1~5万円未満3.33.4
5~10万円未満2.83.7
10~20万円未満4.75.0
20~30万円未満4.94.6
30~40万円未満4.43.5
40万円以上11.616.7
学校種類別の年間学習塾費の分布
出典: 文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査」における調査結果の概要・表8-2より

塾に通っていない生徒の割合が6割以上と、かなり高いですね。先ほど、大学進学率の低さや選抜が厳しくない大学の存在を考慮して「塾に通っている高校生は半分未満かも」と指摘しましたが、まさにその通りになっています。

一方で、大学進学に塾を必要としている生徒の中では、公立・私立ともに年間40万円以上をかけているケースが最多です。

ライター

そこで「0円」を除いて円グラフを作成してみました。次のようになります。

公立高・私立高の年間学習費分布

この図こそが「大学受験のために塾に通う場合の高校生の塾費用」の実態を表していると考えられます。公立・私立を問わず、年額40万円以上(月額3.3万円以上)のケースが最多で、30万円以上まで含めると半数程度ですね。

上で述べた「高学年ほど平均額が上がる傾向」を考慮すると、高1生の平均は40万円よりはやや低く、高3生になるにつれて40万円を超えていくのだろうと推測できますね。

都道府県別でも差が生じる可能性

さらに地方在住の生徒・保護者が意識しなければならないのは「大学入試、特に難関大の入試は全国規模の競争」という点です。高校入試のときの競争相手は「市内」か「県内」程度の範囲だったのに対し、大学入試で初めて「全国」が相手になるのです。

そのため、「知り合いの○○さんがまだ塾に行かせてないから」などという理由で塾通いを後回しにすると、都会の高校生に後れを取ってしまう恐れがあります。

都会に比べて地方は通塾率が低い

ここで地域別通塾率を見てみましょう。

高校生については調査が行われていないようなのですが、中3生については文科省が「全国学力テストのデータ」の際にアンケート調査を行っています。

令和6年度の調査結果(全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【都道府県別】)から大まかに上位・下位を抜粋すると、次のようになります。放課後や週末に「学習塾など」で過ごしていると答えた生徒の割合を「通塾率」としました。

通塾率 高い方から10都府県

神奈川・東京・奈良・埼玉・千葉・兵庫・大阪・岐阜・愛知・静岡

通塾率 低い方から10県

岩手・青森・山形・宮崎・秋田・高知・島根・佐賀・鹿児島・長崎

ライター

いわゆる「地方」と呼ばれるエリアは通塾率が低いことが察せられますが、お住まいの地域はどうでしょうか。

これは中3生に対するアンケート調査ですが、高校生の通塾率も似たような傾向だと推測するのは妥当でしょう。

地方の高校生が大学を目指す場合、「塾に通う」という選択肢自体を思いつかなかったり、「塾なんか行かなくても」という周囲の風潮に流されたりすることで、適切な学習支援を受けられずに学力を伸ばしきれない…とならないよう、保護者の方は全国に目を向けてくださいね。

集団・個別・オンラインの比較

オンラインで講義を受ける様子

塾の指導形式による塾代の違いを比べてみましょう。

集団授業の高校生の塾費用

集団指導の塾の場合、相場は次の通りです。

高1・高2 月額3万~4万円
高3  月額4万~6万円

低学年のうちは英数や英数国のみを受講し、学年が上がるにつれて理科や社会の受講を増やすケースが多いと思われますが、相場もこのことを反映しているでしょう。

ライター

もちろん「苦手科目だけ」など受講科目を絞れば、相場より安く済ませることも可能です。

個別指導の高校生の塾費用

個別指導の塾の場合は集団指導の塾より少し高く、この程度です。

高1・高2: 月額4万~7万円
高3:月額5万~8万円

ただし、通塾目的によっては「数学だけ」「英語だけ」のように回数を絞ることも可能なので、ここに挙げた額より安価に済ませられる可能性もあるでしょう。

オンライン塾の高校生の塾費用

オンライン塾には様々な指導形態があるので、ここでは集団授業や個別指導の塾と似ている「オンライン個別指導」と「オンラインコーチング」について紹介します。

オンライン個別指導塾の相場費用

高1・高2 月額4万~7万円
高3 月額5万~8万円

オンラインコーチング塾の相場費用

高1・高2 月額4-6万円前後
高3 月額2万~8万円

ライター

オンライン塾も他の塾と同様に、受講回数を減らすことで少し塾代を抑えることは可能です。

高校生の塾相場に差が生じる理由10選

悩む女性

ここまで示した通り、高校生の塾代にはかなり幅があります。実は塾代を決める要素は、受講科目の多い・少ない以外にも様々にあるので、そこを深掘りしてみましょう。

高校生の塾相場に差が生じる理由10選
  • 1対1などの少人数制かどうか
  • ライブ授業かどうか
  • 講師がプロか大学生か
  • 講師に毎日でも質問できるか
  • 授業の録画はあるか
  • 単元学習用の動画教材があるか
  • 自習室や休館日の有無
  • 1コマあたりの時間の長さ
  • テスト対策が含まれているか
  • 小論文や面接対策があるか

1.1対1などの少人数制かどうか

塾代の半分近くは講師の人件費に回るのが普通です。そのため、講師1人あたり担当する生徒数が少ない場合は、その少ない生徒で講師の人件費を出す必要があるため、塾代が高くなるのは当然です。

集団授業より個別指導が高く、さらに個別指導の中でも1対1になると高額になる傾向がありますが、これは主に講師の人件費を出すためと考えられます。

2.ライブ授業かどうか

高校の学習内容や大学受験に向けた内容をライブ授業で展開できる講師は、それほど数多くは存在しません。そんな熟練の講師を決まった時間帯に拘束する必要があるので、ライブ授業を行う塾は少し値段が上がるかもしれません。

自分が居住している地域の特性を知り尽くした講師によるライブ授業は、都市部の予備校講師による動画授業にはない臨場感やリアリティが感じられる場合も多いと考えられます。塾選びの際にはよく比較検討してください。

3.講師がプロか大学生か

主に個別指導の塾を中心として、大学生が講師を務めているケースがあります。当然、大学生講師の塾の方が安価な傾向にあります。

東大生などは別かもしれませんが、一般的な大学生が大学受験に向けた指導を行うのは困難な場合が多いです。塾にどんな指導を求めるのか、保護者がよく考えた上で選びましょう。

4.講師に毎日でも質問できるか

授業を担当している講師に毎日質問できる環境は、特に高校生向けの塾だと希少価値が高いです。ライブ授業を展開しており、かつ授業以外の時間帯にも講師が校舎に駐在している必要があるためです。

そのような塾は当然、授業時間帯以外にも講師を拘束するために人件費がかかりますので、塾代は少し高めになるでしょう。

しかし大学入試に向けた学習内容はかなり難しいため、授業を聞いて問題演習するだけでは理解が深まらないことも多いのです。そのため、講師に毎日のように質問できる塾があるなら、その環境をぜひ活かしてください。

5.授業の録画はあるか

高校生活は多忙です。部活の遠征、オープンキャンパス、急な体調不良などの際に塾の授業を休んでしまうこともあるでしょう。

そんなとき授業の録画が公開されていれば、次の授業までに空き時間を作ってそこで視聴できますね。もし録画がなければ、前回の授業の内容がわからないままに次の授業に出席することになるので、あまり学習効果が上がらないでしょう。

また、大学受験に向けた学習内容は一般的に難しいので、一度授業に参加しただけでは理解できないこともあります。そんなときも録画があれば、理解を深めるための復習に役立てられるでしょう。

ライター

このように利便性の高い授業録画を提供している塾は、その手間の分だけ塾代が高くなる可能性があります。

6.単元学習用の動画教材があるか

特に数学や理科など、単元ごとに分かれている科目については、単元の内容を短くまとめた動画教材があると便利です。テスト前などにサッと視聴すれば、効率的に問題演習を進められるでしょう。

このような教材を配備している塾は、やはりその分だけ少し価格が上がる可能性があります。

7.自習室や休館日の有無

大学受験に備えるには、「テスト前だけ一気に勉強する」という中学生のようなスタイルから、「毎日コツコツ勉強する」というスタイルに変わらねばなりません。

そのためには自習室があると大変便利ですが、自習室にかかる家賃をまかなうために塾代が少し高くなるのは致し方ないことでしょう。

また、休館日の少ない塾(例えば土日も開いているなど)は、駐在スタッフの人数を増やす必要があるため、やはり少し塾代が高くなる可能性があります。

8.1コマあたりの時間の長さ

特に個別指導の塾の場合、価格を抑えるために1コマあたりの時間を短くしてあるケースがあります。

極端な例としては、次のような2つの塾を比較してみましょう。

A塾 1コマ90分

B塾 1コマ60分

この場合、A塾の2コマはB塾の3コマに相当するので、塾の費用を比較する際に注意が必要です。

塾の授業料の多くは講師の人件費に回ることを考えると、同じ時間あたりで比較するとあまり差がない場合も多いと思われます。コマ数ではなく時間でも比較する習慣をつけてください。

9.テスト対策が含まれているか

大学受験を目指す場合、テスト対策をしてほしい場合とそうでない場合があると思われます。一般的には、目指す大学の難易度が高いほど、テスト対策は不要なケースが多いでしょう。

塾によっても対応がまちまちで、授業料にテスト対策が含まれている場合とそうでない場合があります。生徒にとって必要なサービスが受けられるかどうか、事前に検討しましょう。

10.小論文や面接対策があるか

大学や学科によって、あるいは推薦型の入試かそうでないかなど色々な条件によって、小論文や面接が必要になることがあります

このことが分かるのは受験校が定まってくる高2の冬~高3の夏あたりです。いざ高3の夏になって「小論文が要る!」と気づいた場合、通っている塾で小論文対策が受けられないと、他の塾を探すことになって面倒です。

したがって、入塾する際にまだ志望校が固まっていなくても、小論文や面接の指導ができる塾なのかを調べておきましょう。

ライター

通常の指導に加えて別料金がかかることが多いはずなので、その価格も聞いておくとよいですね。

費用だけでなく、ニーズに合った指導が得られるかどうかで塾を決めよう!

パソコンで授業を受ける笑顔の女子高校生

高校生の塾費用について、文科省の調査結果などをもとに目安となる金額を示しました。ただし大学進学率は高校進学率に比べるとグッと低いため、一般的な「平均額」を見るだけだと実態を見誤ることに注意が必要です。

さらに、塾代に幅が生じる理由を様々な観点から考察しました。大学入試は方式やレベルにかなり幅があるので、生徒にとって必要なサービスを受けられるかどうかの吟味が重要です。

ライター

この記事が塾選びに悩む保護者の方の参考になることを願っています。

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