不登校でも勉強を続けるには?出席扱いの要件・認められた人数と高校受験での扱い

学校に行けていない間、勉強はどうすればいいんだろう。このまま遅れが広がるのが不安…
学校を休む日が続くと、体調や気持ちのことと同じくらい、勉強の遅れが気になってきます。家で勉強しても学校に伝わるのか、欠席が多いと高校受験で不利になるのか、と先のことまで心配になることもあります。
小・中学校には、自宅や学校の外での学習を、要件を満たせば出席扱いにしたり成績に反映したりできる仕組みがあります。文部科学省の通知と調査結果から、その要件と実際に認められている人数、学校への相談の進め方を示し、欠席が多いときに高校入試でどう扱われるかを神奈川県と東京都の2027年度入試の要項で確かめます。
- 小・中学校では、自宅でのICT等を使った学習や、教育支援センター・フリースクールでの相談・指導を、要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできる。ただし令和6年度に自宅での学習で出席扱いになったのは13,261人(不登校の小・中学生の約3.7%)にとどまる
- 自宅での学習を出席扱いにするには、学校との連携・理解度に合った学習計画・訪問などによる対面指導がそろう必要がある。教材を使うだけでは足りないので、始める前に担任と計画と報告の方法を決める
- 欠席が多いときの高校入試の扱いは都道府県で違う。2027年度入試では、神奈川県は、病気など特別な事情で長く休んだ人が申請すると、中2・中3の学習の記録を参考にしない選考を希望でき、東京都のチャレンジスクールは調査書を使わない

独学で東北大学医学部に現役合格。塾講師として指導を行う中“塾外の時間”の使い方こそが成績向上の鍵だと気づき、1週間=168時間に着目したオンライン学習管理塾「168塾」を創設。全国の受験生を支援している。
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現在は東北大学大学院加齢医学研究所にて、脳科学と教育を融合させた研究を行うと同時に、東北大学病院 認知症外来で診療に携わる現役医師でもある。学術と現場の両視点から、「自走力を育む学習法」の確立を目指し、受験にとどまらない“生きるための学び”を提唱。
不登校の小・中学生は令和6年度に35万人を超えた

令和6年度の内訳は中学校216,266人・小学校137,704人、1,000人当たりは小学校23.0人・中学校67.9人・計38.6人。
令和6年度に不登校だった小・中学生は353,970人(小学校137,704人、中学校216,266人)で、12年連続で増え、過去最多でした。1,000人当たりでは中学校が67.9人で、およそ15人に1人にあたります。前年度からの増え方は2.2%で、前年度の15.9%より小さくなっています。
同じ調査では、不登校の小・中学生の61.7%が学校内外の機関などで専門的な相談・指導を受けていて、担任などから週1回程度以上の相談・指導を受けていた人も合わせると95.8%でした。学校を休んでいても、学校や地域の支援とつながりながら学びを続ける道は、制度として用意されています。
学校に行けない間の学び方と、出席扱いとの関係

家で勉強したら、学校の出席になるの?
学び方によって、出席扱いの対象になるかどうかの考え方が違います。文部科学省の通知(令和元年10月25日)をもとに、小・中学校の場合を整理すると次のとおりです。


| 学び方 | 出席扱いとの関係 |
|---|---|
| 教育支援センター(自治体の公的機関) | 学校外の施設での相談・指導として対象になる。施設に通うことが前提 |
| フリースクールなどの民間施設 | 公的機関で指導を受けられない・通うのが難しい場合で、本人・保護者が希望し適切と判断されれば対象。適切かどうかは校長が教育委員会と連携して判断する |
| 自宅でのICT等の学習(オンライン教材、学校の授業配信、郵送の教材など) | 下の要件をすべて満たせば対象。基本は、施設で相談・指導を受けられない場合の学習 |
| 家庭で市販の問題集を解くだけ | 通知が想定するのは、学校・教育委員会・教育支援センターなどの公的機関・民間事業者が提供する学習。学校のプリントや通信教育、民間のICT教材などに切り替え、学校と計画・報告の方法を決めれば対象になり得る |
自宅でICT等を使って学ぶ場合の要件
自宅での学習を出席扱いにする要件は、次の6つです。それぞれ、家庭の側で確かめておくことを添えました。
- 保護者と学校の連携:担任などと定期的に連絡を取り合える関係になっているか
- ICT等を使った学習活動:使うのが何か(パソコン・インターネット・遠隔授業のほか、郵送やFAXで届く教材も含む)
- 訪問などによる対面指導:先生などの家庭訪問や面談が、誰によってどのくらいの間隔で続くか
- 理解の程度に合った計画的な学習プログラム:どの学年・単元から始め、どのくらい進めるかの計画があるか
- 校長が状況を十分に把握している:学習の記録や報告を、どの方法で学校に届けるか
- 基本的に、施設で相談・指導を受けられない場合の学習:教育支援センターなどに通えない事情があるか
出典:文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
このほか、学習活動が、本人が登校を希望したときに学校へ円滑に戻れるようなもので、自立を助けるうえで有効・適切だと校長が判断することも条件です。学習の提供者が民間事業者の場合は、文部科学省の民間施設についてのガイドライン(試案)を参考に、その子にとって適切かどうかが判断されます。
教育支援センターやフリースクールに通う場合の要件
- 保護者と学校の連携:保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること
- 通う施設:教育支援センターなどの公的機関が基本。公的機関で指導を受けられない、または通うのが難しい場合で、本人や保護者の希望があり適切と判断されれば、民間の施設も考慮される
- 通所・入所が前提:施設に通う、または入所して相談・指導を受けること
- 支援の中身:施設での相談・指導が社会的な自立を目指すもので、本人が登校を希望したときに円滑に学校へ戻れるよう、個別指導などの適切な支援をしていると評価できること(今、登校を希望しているかどうかは問わない)
令和6年度に出席扱い・成績評価を受けた人数


割合は不登校の小・中学生353,970人に対する計算値。3つの人数の重なりは公表されていない。
令和6年度に、学校外の機関などでの相談・指導が出席扱いになった小・中学生は42,978人(前年度38,632人)、自宅でのICT等を使った学習が出席扱いになったのは13,261人(前年度10,467人)でした。どちらも前年度より増えていますが、自宅での学習で出席扱いになったのは、不登校の小・中学生全体の約3.7%です。
| 通った先(令和6年度) | 利用した人と、うち出席扱い |
|---|---|
| 教育支援センター | 32,240人のうち23,368人(72.5%) |
| 民間団体・民間施設 | 18,566人のうち9,329人(50.2%) |
制度があっても、自動的に出席扱いになるわけではありません。教育支援センターに通った人でも約7割、民間施設では約5割です。通い始める前、または自宅学習を始める前に、学校と要件をそろえておくことが大切です。
出席扱い・成績評価になると何が変わるか
- 出席日数:出席扱いにした日数は指導要録の出席日数に入り、欠席日数からは除かれる。備考欄には、出席扱いにした日数と通った施設名などが書かれる(高校も同じ扱い)
- 成績:令和6年8月の学校教育法施行規則の改正で、小・中学校では、欠席中に学校外や自宅で行った学習の成果を成績に反映できることが法令で明確になった。令和6年度に反映された小・中学生は81,467人
- 成績に反映する要件:学習の計画・内容が学校の教育課程に照らして適切なこと、学校と保護者・施設などが連携して学校が学習の状況を定期的に把握すること、学校が訪問などで本人と直接の関わりを続けること
成績の評価は、すべての教科・観点で評定を付けることが求められているわけではなく、学習の様子を文章で書くなどの方法もあります。どの教科をどう評価するかは、学校と相談して決まります。
出席扱いを学校に相談するときの進め方
文部科学省が学校・教育委員会向けに示した事例では、学校が保護者や施設と一緒に学習計画を作り、学習の記録や報告をもとに出席扱いや成績評価を判断しています。家庭からは、次の順に相談すると必要なことがそろいます。
認めるかどうかは校長が判断します。自治体によっては、教育委員会が民間施設での学習を出席扱いにするときの目安(ガイドライン)を作っているので、あるかどうかも聞いておきます。
教育支援センター、フリースクール、オンライン教材、学校の授業配信のどれを使うか、どの単元から週にどれくらい進めるかを決めます。文部科学省の事例には、学校が1人1台端末での授業参加を提案し、保護者と学習計画を作ったものもあります。
文部科学省の事例では、民間施設の活動報告に、利用日、活動の内容、本人の振り返り、スタッフのコメントなどを書いています。Web教材の学習履歴や、評価の観点に合わせた振り返りカードを使った例もあります。
自宅での学習を出席扱いにするには、訪問などによる対面指導が続いていることが前提です。家庭訪問や面談の予定を決め、そのたびに計画が今の状態に合っているかを見直します。
- 出席扱いや成績評価の目的は、不登校の子の社会的な自立を支えること。通知では、出席扱いにすることで不登校が必要以上に長引かないよう留意するよう求めている
- 体調がすぐれない時期は、学習計画より休養が先になることもある。計画の量は、学校との面談のたびに見直す
高校生の場合は扱いが違う
- 施設に通う場合:平成21年3月12日の通知で、教育支援センターや民間施設に通って相談・指導を受けた日数を、要件を満たせば出席扱いにできる。ただし、科目の単位を認めるための授業への出席とは別
- 自宅での学習:この通知には、自宅でのICT等の学習を出席扱いにする定めはない
- 単位の取り方:令和6年8月の成績評価の改正は高校は対象外。一方で、全日制・定時制の不登校の生徒などは、学校が教育上有益と認めれば、自宅などで通信教育を受けて単位を取れる仕組みがある
高校生は、出席扱いと単位の取り方を分けて、在籍している高校に相談してください。
高校受験:欠席が多いときの扱いは都道府県の要項で決まる



欠席が多いと、高校受験で不利になるのかな…
欠席日数や中学校の成績(調査書)を入試でどう使うかは、都道府県や学校ごとの入試の要項で決まっています。例として、公立高校の2027年度(令和9年度)入試の要項が公表済みで、扱いの型が違う神奈川県と東京都を選びました。神奈川県は一般の公立高校の入試に長期欠席の申請がある例、東京都のチャレンジスクールは調査書そのものを使わない学校の例です。
| 項目 | 2027年度入試での扱い |
|---|---|
| 対象 | 長期の欠席について、病気など特別な事情がある志願者(県立相模向陽館高校は除く)。自分が当てはまるかは中学校に確かめる |
| 出す書類 | 長期の欠席を理由とする選抜方法申請書・取扱い申請書と、中学校長が証明する欠席状況証明書を、志願先の高校に出す |
| 選べる扱い | 中2・中3のどちらで長く休んだかに応じて、中2・中3の学習の記録の一方または両方を参考にしないよう希望できる |
| 選考 | 高校長が長期欠席者と認めると、資料の整わない者として、参考にできる資料を使って選考される |
出典:神奈川県「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」(一般募集、第7号〜第9号様式)、東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」
神奈川県は長期欠席を申請できる仕組み、東京都のチャレンジスクールは中学校の調査書を使わない選考です。また、上で見たように出席扱いになった日は指導要録の欠席日数から除かれます。調査書に欠席日数がどう書かれるかは都道府県の作成要領によるため、中学校の先生に確かめてください。
志望する都道府県の要項で確かめること
志望する都道府県の入学者選抜の要項では、次の項を見ると必要なことが分かります。
- 欠席が多い場合の申請があるか:長期欠席や欠席の多い志願者の取扱いの項
- 調査書を使うか:出願書類と選考資料の項
- 調査書の代わりに出す書類:自己申告書・志願申告書などの様式
- 面接や作文があるか:検査の内容の項
- いつまでに何を出すか:日程表と志願の手続きの項
家で勉強を再開するときの進め方
令和6年度の調査で、学校が不登校の小・中学生について把握した事実(複数回答)は、学校生活にやる気が出ないなどの相談が30.1%、生活リズムの不調が25.0%、不安・抑うつが24.3%で、学業の不振や宿題の未提出は15.6%でした。勉強の遅れだけが原因とは限らないため、体調や生活リズムを整えることを先にし、勉強は短い時間から始めます。
再開するときは、学校の進み具合を知っておくと、どこから手を付けるかを決めやすくなります。
- 今の授業の進み具合:担任に、教科ごとにどの単元まで進んだかを聞く
- 学校のワークや配信教材:1人1台端末で届く課題や授業配信があるかを担任に聞く
- 定期テストの範囲:テストの範囲表をもらえるかを学校に聞く
- 地域の教育支援センター:市区町村の教育委員会のサイトや窓口で、場所と利用のしかたを確かめる
- どこから始めるか:休んでいた間の単元から振り返るか、今の授業の単元から始めるかを担任と決める
- 1日の量:続けられる分から始め、学校との面談のたびに見直す
- 分からないときの聞き先:担任、教育支援センターの職員、通信教育や教材の質問窓口など、誰に聞くかを先に決めておく
自宅から学習を再開するなら168塾


出席扱いの相談とは別に、家庭では毎日の勉強を何から・どれだけ進めるかを決めて続ける必要があり、それを家庭だけで続けるのは負担になることもあります。なお、学校外での学習を出席扱いにするかは、どの学び方でも在籍する学校の校長が判断します。
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ここまで読んでくださったご本人・保護者の方へ。
遅れを一度に取り戻すことよりも、
学校とつながりながら、
学習に触れる日を少しずつ増やせているかが大切です。
そのために、
今の学び方が 「本人の今の状態に合っているか」 を
一度立ち止まって確認してみてください。
次の問いに、すぐ答えられますか?
- 今の学び方が出席扱いの要件に合うか、学校と話せていますか?
- 学校の授業がどの単元まで進んでいるかを把握していますか?
- 志望する高校の入試で、欠席や調査書がどう扱われるかを確かめましたか?
1つでも迷ったなら、
学習の進め方を整理するサインです。
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不登校中の勉強についてよくある質問
この記事の出典
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)
- 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
- 文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
- 文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」(学校・教育委員会等向け)
- 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)
- 文部科学省「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」(平成21年3月12日)
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(通知)」
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
- 神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」
- 東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」



